サイパンで活躍されていたインストラクターさんの以下のYahoo 知恵袋の質問に回答が追加されていました。
ソルティさんの回答にもう少し言語化の補足を行い、bucse806さんの回答にはそれは少し楽観的ではないかと疑問を述べたいと思います。
【質問者の方の質問: 再掲】
ダイビング業界の実態について、モノを書こうとしているのですが(ナウイのインストラクター)
20年のスパンで見ると、ダイビングは廃れ気味です。
二〇年前はあんなに流行っていたのに、今は、サイパンにしてもグロットという世界有数のダイビングポイントがあるのに、観光客でさえ激減で、30あったダイビングショップは今は三-四店しか過活動していない。
昔、ダイビングを夢中になって、毎週のようにツアーに出ていた若い男女は、どこへ行った(どんな趣味に)のでしょうか。
ダイビング業界の今について、おしえて下さい
【ソルティさんの回答】
単純に景気が悪いからですよ。
ゴルフや他のレジャーも一緒。
今の時代は「やってみたい」だけ満足したらもう飽きて次に行く感じです。
間違っていないし、その通りなんですが単純に景気が悪いからではないことをソルティさんご自身が最後に述べていらっしゃいます。そう人の心が変わってしまったからスクーバ・ダイビングは廃れていっています。
ぼくが先日述べたように、娯楽がアウトドアからインドアへと国民的にシフトしていっています。また先日は述べるのを忘れていましたが、アウトドアの娯楽が滅んだわけではなくてよりライトウェイトなアウトドア・アクティビティは滅ぶどころか逆に伸びています。景気だけの問題ではないために、この流れは当面変化することが期待できません。
スクーバダイビングのような重厚長大型アクティビティは大げさな表現になってしまいますが滅亡への道を今のところ突き進んでいます。ですが、それに対して技能的に簡単なピークハントや低山ハイクなどのライトウェイト登山、ロードバイクなどによるランドネ、ウォータースポーツではサーフィンはプレイ人口を維持していますし、SUP、スノーケリングなどは逆に人口を増やしています。
あまり日本人同胞を軽薄短小扱いするようなニュアンスでひとくくりにしてしまうのは、なにか違うと思いますし、問題の解決には一切寄与しないと思います。実際に周囲を見渡して見て取れるのは娯楽や余暇のスタイルがライトウェイトなものにシフトしてしまって、それが当面続くであろうと予測されるということです。
きちんと分析しないと、明るい未来はやってきません。仮に滅亡していくならそう腹をくくる必要もあります。でも雑に人がこうなってしまったからって言い切ってしまうと、そこからはもう何も生まれません。覚悟すら生まれません。
もう少し丁寧に言語化して分析するといいのに、とどうしても思ってしまいます。たぶんぼくの分析もぜんぜん足りないのです。もっと多角的に現状を把握する必要があります。
それにはもっといろんな人が真剣にスクーバ・ダイビングの未来について考える必要があります。でもその人材がスクーバ・ダイビング界にはほぼ存在しません。そこから始めないとダメなのですが、誰でもが当事者であるにも関わらず、そのことを述べる人は今のところ存在しません。
【bucse806さんの回答】
ネットには良くない情報もいっぱいありますよ。
昔、ダイビングに夢中になっていた若い男女は現在は中年になって、ダイビングどころではない人が大半でしょう。
20年前でも既に全盛期の面影はなかったし、これから日本の景気が急に良くなるとは考えられないので、ダイビング業界のほうが変わるしかないですが、そんな兆しは全くありません。
これから盛んになるとしたら、スクーバダイビングではなくてフリーダイビング(昔で言うスキンダイビング)でしょう。フリーダイビングはスポーツであり、心身の健康に直結しているからです。
20年前には日本国内には「アプネア・アカデミー」しかありませんでしたが、今では日本国内でも「AIDA」「SSI」「PADI」「NAUI」などのインストラクターも講習をやっています。
ぼくはダイビング業界が変わるだけではいかんともしがたいと思っています。スクーバダイビングが廃れていっているのは、全ての環境、つまりダイビングを取り巻く生態系とそれを取り巻く環境自体が構造的問題を抱えているからという考えに現在のところ至っています。
どちらかというとダイビング業界は環境にいろいろ働きかけてはいるものの、環境を動かすほどの力にはなっておらず、身動ぎしながら苦しむ病人のような状態だと感じています。病人を叱咤激励して変われと言っても、もうその余力がないように感じます。
必要なのはスクーバ・ダイビングを取り巻く全ての環境に対して手当をしていく必要があって、景気も、ダイビング業界もそのごく一部にしか過ぎません。まず必要なのは関係する全てのアクターを洗い出して、それぞれのアクターが抱える問題を分析して洗い出して、それらに対して対策を考えていくというフェーズがどうしても必要になります。
それをやらねば未来がないわけですが、それでは誰がそれの音頭を取るのかというと、それに適したアクターが存在していません。凡人潜人先輩がおっしゃるように C カード協議会もしくは日本スクーバ協会に音頭を取っていただきたいところですが、おそらくはそれらの団体も利害関係調整機構であって、全体最適化を目指す団体ではないことからあまり期待できないのではと思っています。
それと bucse806 さんには事実誤認といいますか、現状を正しく把握されていないのではと危惧しています。たしかに SNS などを見ているとフリーダイビング、あるいはスキンダイビング、マーメイドスイムなどが流行っているように見えます。見えますけれど映えと承認欲求にまみれた人たちが、インフルエンサーっぽく振る舞っているに過ぎません。
串本にもスクーバ・ダイビングはもう限界を迎えつつあり、これからはスキンダイビング、フリーダイビング、マーメイドスイムの時代だと、スクーバ・ダイビングのサービスを打ち切ってスキンダイビングに特化する現地サービスも出てきています。
ですが顧客が激増したなんて話は一切聞きません。それどころか客単価が下がったことで経営としては成り立たずに、クラブ化を模索しているのが現状です。
ダイビング業界そのものは、さまざまな試みをしているものの、どれもがうまく言っていないのが現実です。スキンダイビングこそ伸びるという主張は、ちょっと現実を甘く見積もり過ぎな気がします。
ウンベルト・ペリッーアリに師事して、日本のフリーダイビング・インストラクション界で重要な位置を占められてきた bucse806 さんのような重鎮に反論するわけでも反論したいわけでもないのですけれど。
昨年の 5 月頃からこのことを泣きそうになりながらずっと考えているぼくは、 やっぱり悲観的すぎるのでしょうか?