バーr……blog のようなもの 2025 年 10 月

10 月 20 日 ( 月 )

Dive #63: RMVに基づくターニング・プレッシャーの計算式

RMV (L/min) データとワーキング・マキシマム RMV (現実的な最大値) を前提に、R-Gas (緊急用ガス) とT-Gas (ターニング・プレッシャー) を決定する計算は以下の通りです。

状況別ファクター:RMV_Planの決定

RMV_Planは、あなたのワーキング・マキシマム RMVに、以下の表から選択した状況別ファクターを乗じて決定します。これにより、潜水条件に合わせた余裕を持ったガス消費量を計画します。

RMV_Plan = ワーキング-マキシマム RMV × 状況別ファクター
潜水状況 状況別ファクター 適用基準
理想的な条件(穏やかな環境、浅場) 1.0 ~ 1.2 水深 18 m 未満、流れ無し、リラックスした潜水。
標準的な条件(平均的な環境) 1.2 ~ 1.4 水深 18 m 超過、弱い流れ、適度な水中活動。
挑戦的な条件(困難な環境) 1.4 ~ 1.6 水深 30 m 超過、強い流れ、低い水温、高い作業負荷。
極限的な条件(緊急事態、非常に困難な環境) 1.6 ~ 2.0+ 洞窟・沈船の内部、視界不良、予測される緊急対応(バディへの給気など)。
準備:計算に使う値の定義
変数名 定義 単位
RMV_Plan 計画用RMV(ワーキング・マキシマムに状況別ファクターを適用した値) L/min
初期残圧 潜水開始時のタンク圧力 bar
最大水深のATA 潜水予定の最大水深の絶対圧 ATA
タンク容積 使用するタンクの公称容積 L
ステップ 1: R-Gas(緊急用ガス)の計算

R-Gasは、最大水深でトラブルが発生した際、安全停止を完了し、水面まで浮上するために必要な空気の圧力です。

1-1. R-Gas Volume(必要な空気の容積)の計算

必要な空気の容積を計算します。浮上時間には、あなたのダイブコンピューターが推奨する最大浮上速度(例:9 m/min)を基に計算した値を使用します。

R-Gas Volume (L) = RMV_Plan × ( 浮上時間 + 安全停止時間 ) × 最大水深のATA
1-2. R-Gas(必要な圧力)への変換

計算した容積を、使用するタンクの容積で割ることで、必要な圧力 (bar) に変換します。

R-Gas (bar) = R-Gas Volume (L) タンク容積 (L)

結合された式:

R-Gas (bar) = RMV_Plan × ( 浮上時間 + 安全停止時間 ) × 最大水深のATA タンク容積
【推奨】 計算で得られた R-Gas に、さらに 10 bar ~ 20 bar 程度の安全バッファを上乗せし、最終的な R-Gas としてください。(例:計算値 42 bar 60 bar に設定)
ステップ 2: T-Gas(ターニング・プレッシャー)の計算

T-Gasは、潜水ルートを折り返す必要がある圧力です。R-Gasを確保した上で、残りの空気を往路と復路で等分するという考え方に基づきます。

2-1. 使える空気量(U-Gas)の計算
U-Gas (bar) = 初期残圧 (bar) - R-Gas (bar)
2-2. T-Gas(折り返し圧)の決定
T-Gas (bar) = 初期残圧 (bar) - ( U-Gas (bar) / 2 )

結合された式:

T-Gas (bar) = 初期残圧 - ( 初期残圧 - R-Gas ) 2

このT-Gasに達したら、NDLに余裕があっても、直ちに探索を中止し、浅場への移動(折り返し)を開始することが、ガス管理計画の最優先ルールとなります。